窓に影2

 ニコッと優しい笑顔を見せて、歩は西山家に帰っていった。

 穏やかで、爽やかで、甘い。

 そんな幸せな朝……。


「ねむっ」

 私はもう一発あくびをかまして、自分の部屋へと戻った。



 私と歩はお隣さんで、いわゆる幼馴染。

 幼稚園、小学校、中学校はもちろん一緒。

 その後、私はアホ高の北高校へ進学。

 秀才が集まる南高校へ進学した歩とはすっかり疎遠になっていた。



 しかし昨年12月、私の進級を案じた母によって、歩が家庭教師として雇われたのだ。

 それをきっかけにあんなことやこんなことがあって……現在に至る。



 ていうか、あれ?

 何か大事なこと、忘れているような……。

 夜から朝にかけての出来事を思い返してみた。

 ポッ。

 いやいや、そうじゃなくて……。

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