窓に影2
4・天邪鬼の涙
帰宅したのは午後9時半過ぎだった。
「ただいまー」
カラオケで大声を出すとうっぷんは予想以上にスッキリして、楽しかった時間を思い出してはご機嫌で自宅に入った。
お腹が空いたので、ダイニングへと直行。
夕食を済ませた両親はリビングのソファでテレビを見ていた。
「遅かったわね」
私を見た母は、少し怒っている様子。
遊びに行った日はこの時間になることを知っているはずなのに、なぜ?
「聡美と盛り上がっちゃって」
「そう」
炊飯器から自分で米をよそい、テーブルに置かれたおかずを温めることなく食べる。
母の機嫌を察知して、洗い物も自分でやった。
「ごちそうさま」
買った品物を抱え、ここでやっと部屋に向かう。