窓に影2

 我慢してたこと、素直になれない自分が嫌になったこと、そういう悔しさや悲しさが一気にあふれ出す。

 それが涙となって体の外に出てきてしまったから、私はそれ以上何も言えなくなってしまった。

「何で泣くんだよ……やっぱりわかんねえ」

 突然泣き出した私を見た歩は、慌ててティッシュを二枚取る。

 困った顔をして涙を拭いてくれるが、涙はまだ止まりそうになかった。

「……だって……もん」

 はっきり喋れていないことは、自分でもよくわかった。

「え? なに?」

 歩の耳が口元に差し出され、私は囁くように繰り返す。

「あたしだって、歩の気持ちなんてわからないもん」

 それを聞いた歩は正面から私を抱きしめた。

 ずっと欲しかった温もりは、私の涙腺をまた緩ませる。

 あやすように背中をぽんぽん叩かれながら、私はひとしきり泣いた。

 歩に涙なんて見せたくなかった。

 ちょっと不機嫌で強いキャラのままでいたかったのに。

 すぐ泣く女だなんて、思われたくないのに……。


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