窓に影2
この集会の意義を感じられない女子生徒は、話なんて聞かずに近くの生徒とのお喋りに専念する。
聞いている生徒もいないわけではないから、とりあえず、小声で。
出席番号順に並べられている関係で、私は前に座っている木下ほのかちゃんと話していた。
「ねえ、恵里ちゃんって今彼氏いるの?」
「いるよ、一応」
女子生徒の話は、もっぱらコイバナ。
今までに付き合った人数がステータスになるこの学校では、
「何人目?」
という質問が次に来るのが自然なことだった。
「うーん、数えてない」
私がそう答えると、ほのかちゃんは、
「え、じゃあ超多いんじゃん」
と尊敬の眼差しを見せる。
ほのかちゃんは黒髪のボブヘアーに緩いパーマをかけているのが印象的で、化粧もナチュラル、靴下は紺のハイソックスで、北高で言えば癒し系な女の子だ。