窓に影2

「ただいまー」

 と言って気付いた、歩の靴の存在。

 もう来てるんだ。

 最近うちに来てばっかりだな。

「歩ー?」

 部屋に入ると、今日も私の机を陣取って学校の課題をやっていた。

「おう、バイトお疲れ」

「ありがと。ていうかわた兄帰ってきてんじゃん。コンビニで会って一緒に帰ってきたの」

 何気なくそう言うと、歩の顔色が変わった。

 ムスッとしたというか、なんというか。

「ああ、うん。一昨日ね」

 サラッとそれだけ言って再び机に向かう。

 私の学習机は、もはや歩のためにあるようなものだ。

「教えてくれてもよかったのに」

「ごめんごめん」

 全然気持ちの入っていない謝罪の言葉に違和感を覚えた。

 わた兄と何かあったのだろうか。

「お菓子買ってもらったの。一緒に食べよう」

「いや、俺はいいよ」

 いつもならお菓子にがっつくのに。

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