窓に影2
「明日はあたしがそっち行っていい?」
「え?」
パッとこちらに向いた歩の顔が険しい。
何よ。何か怒ってんの?
「わた兄とも色々話したいし」
「……まあ、いいけど」
そう言ってペンを放り投げ、机を離れた。
そして、ベッドに座っている私を押し倒す。
「どうしたの? 何か怒ってる?」
「そう見える?」
歩の低い声が胸の奥に響いた。
この低くて甘い声だけは、わた兄よりもカッコイイ。
……だけ、なんて。
彼氏に失礼、かな。
でも今は断然歩の方が好き。
「見えるよ。ちょっと不機嫌。何かあったの?」
歩は何も答えないまま、いつもより激しく私を求めてきた。
絶対何かあったんだ。
最近はケンカらしいこともしてないし、私が原因ってことは……ないよね。