窓に影2
「あのな、さすがにそっちの兄弟になるつもりはないんだけど」
わざと下品に返す歩をわた兄が笑う。
「そういう意味じゃないって。お前が課題を終わらせるまで、ドライブのお誘い」
チャリっと車のキーの存在をアピールした。
わた兄は余裕の笑み。
歩は思い切り顔をしかめている。
私は返事ができなかった。
本心では誘いに乗りたいけど、仮にも男の人だし。
更に、初恋の相手だし。
別に浮気しようってわけじゃないけれど。
どう出るかうかがっていると、歩と目が合った。
そして、
「いいんじゃない。その代わり、2時間で戻れよ。それまでに終わらせる」
「短いなぁ」
「十分だろ」
こうして、わた兄と出かけることになった。