窓に影2
7・兄弟の事情
歩の部屋に戻った私は、精一杯演技をした。
「楽しかったよ、ドライブ」
歩は笑顔を見せないままただ私にしがみつき、まるで消毒とでも言わんばかりにキスをしてきた。
そして、
「あいつに何かされなかった?」
なんて聞いてくるから心が痛んだ。
「まさか」
抱きしめられて付き合おうって言われて、更にチューされました。
なんて正直に言えるわけがない。
暫くわた兄とは会わないようにしなきゃ。
「明日学校終わったらすぐに恵里のとこ行く」
大好きな低くて甘い声。
切ない顔がおまけに付いてきて、胸からなんともいえない愛しさが全身に広がった。
私はやっぱり歩が好きなんだと実感した。
「うん。待ってるね」