窓に影2
確かにわた兄はカッコイイし好きだけど、今では完全にお兄ちゃんなわけで、彼氏とかそういうのとはちょっと違う。
そう思っていた。
でも、血が繋がっているわけではないし、実際は歩と何も変わらない幼馴染だ。
どんな感情を抱いてもおかしくない。
こう思い直したのは、わた兄にキスをされたから。
私の中で彼の存在が大きく変わってしまった。
わた兄が本気かどうかなんてわからない。
モテるだろうし、色んな恋愛してきただろうし。
キスくらい、イタズラな挨拶かもしれない。
だから強く拒否できなかった。
「ごめんな。あんまり構ってやれなくて」
歩が謝るから、罪悪感が重くのしかかってきた。
「謝んないでよ。受験頑張ってほしいし」
「ありがと。でも夏の間の課題は今日で全部終わらせたから、これからはできるだけ恵里にくっついてる。兄貴に預けたりもしない」
それなら安心だ。
歩がそばにいれば、絶対わた兄になびくことはない。