窓に影2
意外な言葉だった。
逆に私は自分に歩はもったいないと思っていた。
見違えるくらいイイ男になった歩。
勉強もできて、しっかりしてて、口は減らないけど何気に優しい。
私なんかでいいのかって、今でも思うのに。
予想外の台詞に首を傾げていると、わた兄も首を傾げた。
「どうしたの?」
「いや、あたしずっと逆に考えてたから」
「逆って? 恵里に歩はもったいないってこと?」
頷くと、大笑いしだした。
わた兄は私をどのように捉えてるのだろうか。
どう見たっていい加減そうな私と、どう見たって好青年の歩。
歩のほうが出来た人間であるのは間違いないのに。
「なんで笑うのよ」
「人によって感じ方は違うんだなって思って」
「意味わかんない」
「いいよ、わかんなくて」
言いながら、未だに笑いは治まっていなかった。