ふわふわ
そうだ。ネットの画像検索にケセランパセランと入れて検索してみよう。眠気もだいぶ覚めてきたところで、私はケセランパセランを画像検索にかけてみた。検索結果が表れてビックリした。今、この部屋の天井に張り付いているものと同じものがズラリと出てきたのだ。これは凄い。間違いなく全部アイツだ。
「捕まえて写真を撮ったら、すぐに消えてしまいました」
「瓶の中に入れておいたのですが、いつのまにか消えてしまいました」
「オシロイを入れて食べさせていたのに突然いなくなりました」
 どういうことだ。どの画像の説明にも、すべて消えたと書かれている。
「ケセランパセランは妖精です」
 ケセランパセランは妖精です。妖精です。妖精。
 マジかよ。
 ガチャン。
「ただいま~」
「おう、上、見てみろよ。妖精がいるぞ」
 私は、健太の散歩から戻った息子の幸介に言った。幸介は小学6年生だが、ちょっと臆病なところのある子なので、妖精を見たら怖がるかも知れない。
「父さん、上って、何?」
「ほら、そこの照明・・。あれ、いなくなってる」
 アイツが消えた。
「何がいたの、父さん」
「これだよ」
 私はパソコンの画面を幸介の方に向けて、幸介にケセランパセランの画像を見せた。
「あ、なーんだ。ケセランパセランじゃないか」
「えっ、お前、コイツのこと知ってるのか」
「うん、マンガで見た。本物は見たことないけど」
「ふーん、マンガでやってたのか」
「うん、この妖精を見た人は、もの凄い幸運に恵まれるんだって」
「やった! 父さん、さっき見たぞ。この部屋で」
「ふーん」
「ふーんって、凄いことなんだろ」
「うん、まぁ」
「なんだよ、その言い方、何かひっかかるな」
「うん、確かに幸運に恵まれるらしいんだけど・・」
「何だよ、幸介、その続きがあるのか」
「そうなんだ。ケセランパセランを見た人にはもの凄い幸運が訪れるんだけど、2度見た人には、その何倍もの不幸がやってくるんだ」
「2度」
「うん、2度」
 私は、その日から天井を見上げることをしなくなった。
 アイツを見つけたら大変なことになりそうだったからだ。
 妖精が2度と私の前に現れないことを祈るばかりである。
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