キミ予報




ついにやってきた放課後。


俺は帰る支度を終え、黒澤の席へと近寄る。


「なぁ」


俺が呼び掛けると、黒澤はくるりと振り返った。


「あ、持田君。大丈夫?」


まるで他人事のように心配する黒澤。


まぁ黒澤からすれば、他人事なんだろうけど。


何も知らない黒澤は本当に幸せ者だ。


俺の気にもなってみろ。


「あぁ、大丈夫だ。あのさ、ちょっと今から付き合ってほしいんだけど」


「……え?」


普段あまり親しくない俺から誘われ、驚いているのだろう。


まぁ無理もない。


それが自然な反応だと思う。


「……美術の資料をさ、選んでほしくて」


俺は適当に理由を並べた。


美術の資料なんて別に興味ない。


「美術の資料?……あ、えーと……、今日はちょっと用事があるの。明日じゃダメかな?」


そう言って、俺を見上げる黒澤。


いや、明日じゃお前


死んじゃってるから。


俺はどうやって黒澤を引き止めればいいのか、頭をフル回転させて考えた。


だが、いい案が浮かんでこない。


俺は、どうすればいいんだ……。



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