キミ予報
こんなに全力疾走したのは何年ぶりだろう。
体育の授業中でさえ全力で走らなかった俺が、
ただクラスメイトの命のためだけに走っている。
俺はいったい、何をやっているのだろうか。
額に汗が浮かぶ。
地面に白と黒の縞模様が見えたところで足を止めた。
一ヶ所目の横断歩道だ。
息を切らしながら、向こう側にある信号を見る。
歩く人は、緑に光っていた。
携帯を開き、時計を見ると、時刻は18時50分だった。
辺りを見回し、黒澤がいないことを確認する。
「次か……?」
歩く人が赤くならないうちに、俺は次の横断歩道を目指すことにした。