Boys Kissシリーズ・『演技のキス・2』
演技のキス・2
―文化祭当日。

控え室で、俺は彼と二人きりだった。

すでに着替えを済ませ、後は本番を待つばかり。

だけど…。

「カツラって重い…」

腰まで伸びている長い髪のカツラをかぶせられ、俺はうなっていた。

「とってもキレイだよ。本当に奪っていきたいぐらい」

女物の着物を着ている俺とは反対に、彼は男物の着物を着ていた。

彼も長い髪のカツラをかぶっているけど、平気そうだ。

「あぁ…。本当にキレイだ」

彼は俺をじっと見つめる。

その熱っぽい視線がちょっと恥ずかしくて、俺は顔を背けた。

「あんまこっち見るな。どうせ舞台でイヤってほど見るだろ?」

「それも今日まで。明日になったら、着てくれないよね?」

「俺にはコスプレ趣味はないからな」
< 1 / 5 >

この作品をシェア

pagetop