MINE!!
高校2年の春、あたしはここに来た。
誰もあたしのことを知らないような、元の住所から遠く離れた街。
前の街に比べて少し騒がしいここは、あたしを落ち着かせた。
『二階堂高校』
全く知らない名前の高校に入って、少しの不安と期待を胸に真新しい制服に袖を通す。
そのパリッとした感触は、あたしの足取りを軽くする。
……はずだった。
というより、そうしたかった。
でもあたしの足取りは、校門に入った瞬間、鉛でも付いたように重くなった。
だって、おかしい。
どう考えても、おかしい。
学校の前には、あたしと違う種類の制服がたくさん。
それぞれが派手な色のうちわを持っている。
そこには文字が書いてあって…
『光輝』とか『響』とか『愛してる』とか『大好き』とか。
そして良く見るとそれは全て女の子。
これはあたしが思うに一つしかないんだけど、ここは学校で。
…いやいやいやいや。
ないない。
ここにアイドルファンがいるなんて、絶対におかしい!!!