子供+大人=恋?の方程式











 運転席に座った圭くんは「乗れ」とばかりに助手席のドアを開ける。





 こ、これは―――…。


 もちろん、ここに乗れってことなんだよね?


 そうだよね。


 そうに決まってる。


 だけど、素直にそこに座れないあたし。


 だって、『助手席』だよ。


 『助手席』





 きっと、圭くんほどの容姿の人なら、この場所に座りたいと願う女性はたくさんいるはず。


 それよりも、そんな席にあたしが座るっていうことに抵抗がある。


「何やってんだよ。早く乗れ!」





 次第に機嫌が悪くなってくる圭くん。


 あたしは、悪あがきだけど、後部座席のドアを開けようとする。


 だけど、いち早くそのあたしの行動を察知した圭くんは目の前でロックした。





 すっごく聞こえた。


 今、カチャって。


「―――どこに乗ろうとしてんだ。面倒くさいことしてないで、さっさと乗れ!」





 何よ、何よ、何よ!


 つまり、あたしが乗るためには助手席しかダメってこと?


 いいじゃん。


 同じ車なんだから、後部座席だろうがなんだろうが!





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