子供+大人=恋?の方程式
「わからないからわからないって言ってんだよ。
今度から新しくバイトを一つ増やすんだ」
「ええ? バイト?
だって、圭史。
今のバイトでも充分みたいなこと言ってなかった?
バイトを増やす必要なんて」
しつこく聞かれそうな雰囲気に、俺はなんとなくここに長居する気が失せてきた。
今日はここに泊まろうかと思ってたけど帰るか………
「………え? 圭史、帰るの?」
ベッドの下に落ちている服を拾い、身につけていると不安そうな彼女の声。
だけど、俺は気づかないフリをして服を着ていく。
「ああ。やっぱり、今日は帰るわ」
「どうして? 今日は泊まるって…!」
「なんとなく気が変わったから。
んじゃな、静香」
俺は放心状態の静香に手を振ると、部屋を出た。
クーラーの効いている部屋から出てきたからか、外の空気はすごく気持ちが悪かった。
俺はポケットからタバコとライターを取り出すとタバコに火を点けた。
肺に入った空気を吐き出すように外へと出す。
女って、なんで関係を持ったら束縛してこようとするんだろう………。
そういうのが嫌だからって言っていたのは静香のほうだった。
俺は元々、束縛されたりするのは嫌いだった。
だから、どんな女とも付き合ったりはしなかった。
そんな俺の本性を見抜いてか、近寄ってきた静香。
俺があいつとこんな関係を続けているのも、ただの体だけの関係だけで気持ちは必要ないからだ。
それなのに………