子供+大人=恋?の方程式
「勝手に言ってろ」
「ああ、圭史。
冗談だと思ってるだろ」
当たり前だろ。
元々、気の多い誠。
テーマパークの時に、茅乃が誠の目に止まるだろうということは薄々わかっていた。
だけど、こいつの場合はコウとは決定的に違う。
コウには真剣さがあるが、誠の場合は他に可愛い子が現れると、そっちへとすぐに気が移ってしまう。
だから、こいつの茅乃のことを気に入っているという言葉はそう重くは受け取れない。
冗談と受け取ってもいいぐらい軽いものだ。
「お前、この前、静香がどうとか言ってなかったか?」
「あ~、それ?
だって元倉さん。
圭史のことしか眼中ないみたいなんだよな~。
だから、パス」
「パスって―――…」
毎度のことながら、変わり身が早すぎるんだよ。
呆れて誠のことを見ていると、コウがいつになく真剣な表情で誠の肩に手を置いた。
「ねぇ…。
この前はテーマパークに連れてきていた一人が可愛いと言ってなかった?
その子はどうしたの?」
聞いている言葉はとてもやんわりしていて、別に表情もいつもと変わらない。
なのに、なぜかコウからとてつもないオーラを感じてしまう。
それは、誠も同じだったみたいで、コウの雰囲気に飲み込まれていた。