子供+大人=恋?の方程式
*
自分の気持ちに気づき、決意をしてから初めての家庭教師の日だった。
俺は初瀬家を前にして、少しだけ深呼吸をする。
いつもは、特別何も思わなかった家。
だけど、自分の中で決意したからか、なぜかこの家に異様な威圧感を感じてしまう。
まあ、俺の心の中でだけのことだと思うが―――…
俺はもう一度深呼吸をして、インターフォンを押そうと手を伸ばした。
「―――さっきから、何やってるの?」
インターフォンを押す寸前、すぐ近くから聞こえてきた声に、俺は視線をそれに向けた。
「―――茅乃…」
「もしかして、圭くんっていつもそんな風にして、ウチに来てるの?」
そんな風?
そこまで言われて、俺はさっきの自分の変な行動を思い出す。
「ばっ!
そんなわけないだろ!」
「え~? じゃあ、今日だけ?
すっごく行動が怪しかったけど?
もしかしたら、私じゃなく通りすがりの近所の人だったら、通報されているかもよ」
嬉しそうに言う茅乃。
だれのせいで、緊張して妙な動きをしてしまったと思ってるんだよ。
全然気づかず、笑っている茅乃を前にして、俺の中で怒りが湧いてくる。
こいつ、馬鹿にしやがって―――…