子供+大人=恋?の方程式
説得するためにも、圭くんの情報は欲しい。
どういう人物かということを知れば、どう話を持っていったほうがいいかと考えやすいし。
だけどな………
あたしはチロリと拓斗の顔を窺う。
どう見ても、不自然に思っている今の拓斗。
何も聞かずに素直に教えてくれるとは思えない。
「ハァ…」と溜息を吐いた後、あたしは拓斗へと鋭い視線を向けた。
「ホント理不尽」
「なんだよ、突然………」
「家庭教師付けられたの」
「家庭教師~?」
言い返した後にプッと笑う拓斗。
何がおかしい………。
こうやって笑われると思ったから言いたくなかったんじゃないの!
「なんでまた………」
笑いを抑えながら聞いてくる拓斗にムカつきながらも、あたしは素直に答える。
「この前の中間考査。
順位が下がってたから………」
さすがに、順位が一つだけ下がってただけのこととは言えなかった。
たとえ、拓斗がウチの母のことを知っていたとしても、恥の上塗りのような気がして………。
また、とんでもないことを言い出したなと思われるのも癪だしね。
やはり、変だとは思いながらも自分の母親。
他人にそう思われるのは嫌だったりする。