子供+大人=恋?の方程式





 珍しく静かな空間。


 問題を解いている間はいつだって、静かだった。


 だけど、今日はこの沈黙が特別に気になる。


「―――できました…」





 小さな声で呟いたかと思うと、茅乃はそっと問題集を俺に差し出してくる。


 それを受け取り、俺は採点する。


 茅乃は元々頭がいいらしく、大抵、俺が言ったことは一度で覚える。


 元々の成績もそれほど悪くないみたいだし、こっちとしてはやりがいを感じる生徒ではある。


「全問正解」





 丸をつけ終え、顔を上げると、ジ~ッと俺のことを見てくる茅乃に俺は驚いた。


「な、なんだよ」


「ねぇ。さっきのって、本気?」


「さっきの?」


「だから、その…あたしのことを……」





 言いづらそうに顔を下に向ける茅乃。


 少し顔を覗くと、その顔は赤く染まっていた。


 これ以上は茅乃の口からは言えなさそうだったから、代わりに言ってやる。


「好きってこと?」





< 251 / 509 >

この作品をシェア

pagetop