子供+大人=恋?の方程式


「お願い、圭くん。

あの、これから長い目で見て、一年後ぐらいに十位を目指すとか…」





 それも、かなりきつい目標だけど、こんな短期間で成果を出すよりはよほど現実味がある。


「一年後か――…」





 圭くんはテーブルに肘をつくと、物憂げに窓の外を見た。


「俺、その頃、お前の家庭教師続けられてるかわからないからな…」


「―――え? どうして?」


「俺は今、二年だろ? 

三年になると、ゼミに入らなくちゃいけなくなるんだよ。

ウチの大学、理系は特にハードでさ。バイトと両立ってのは難しいかもしれないんだ。

おまけに、就職活動も年々早くなってきてるしな…」


「そ、そうなんだ……」





 そうだよね。


 いつまでも圭くんがあたしのバイトを続けるなんて保障はどこにもない。


 圭くんには圭くんの生活があるんだし―――…。


 なのに、どうしてなんだろう?


 少しだけ、寂しいと思うのは―――…。


 あんなに、圭くんの家庭教師はハードでいつもいじめられてて。


 それに、ママたちのおかしな悪巧みもあるし、本当は大喜びするところ。


 なのに―――…





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