子供+大人=恋?の方程式
キッチンへと目を向けると、圭くんはフライパンを片手に調理中で音には気づいていないみたい。
「ねぇ、圭くん。
携帯鳴ってる」
「えぇ!? 誰?」
「誰って―――…」
それは、あたしに着信名を見ろってこと?
なんかそれって、圭くんのプライベートを覗くみたいで、気が引けるんだけど―――…
だけど、そう思っているのはあたしだけみたいで―――…
圭くんは未だに調理をしている。
う~ん…。
圭くんからも許可でてるしな…。
頼まれてるんだし、いいか。
迷っている間に、携帯は切れるかと思ったんだけど、切れる気配もなく、延々に鳴り続けている。
これは、見なくてはいけないってことだよね。
あたしはテーブルの上に置いてある圭くんの携帯を取ると、表示されている名前を見て固まった。
だって、そこに記されている名前は―――
【元倉静香】
途端に、あたしは彼女と会った時のことを思い出す。
圭くんへの気持ちを確認してきた静香さん。
そして、あたしはその問いかけに、はっきりとNOと答えたんだった。
あの時のうれしそうな静香さんの顔。
それを思い出すと、今、ここで圭くんと二人っきりでいる状況に罪悪感を感じてしまった。
そう、まるで裏切っているような感覚。