子供+大人=恋?の方程式
「うん。
きっと、気づいてないのって茅乃だけだったんじゃない?
だから、その静香さんって人もわざわざ茅乃に釘を刺しに来たんでしょ?
でも、すごいよね、その人」
「学校まで来たから?」
「そうじゃなくて」
真澄はストローで氷を突きながら、話し出す。
「だって、茅乃が圭史さんのことを好きになったりしないように、早めに手を打ったんだもん」
「それは、あたしが圭くんの幼なじみで仲がよさそうだったからとか…」
「それだけなはずないでしょ」
ハァ…と真澄は呆れたように溜息を吐いた。
「圭史さんが茅乃のことを好きなことは明白だもん。
だから、茅乃が好きになれば、すぐにでも二人は付き合うことになる。
その時に、一番の得策とすれば?
はい!」
マイクを持つように手を作ると、真澄はあたしの口元へと差し出してくる。
「え、えぇ~?
そ、そんなのわかるわけないじゃない」
「もう!
茅乃は頭はいいのに、恋愛経験値が低すぎ!
そんなんじゃ、相手の罠にあっさりと嵌って抜け出せなくなっちゃうわよ。
静香さんって人は策士みたいだし」
「そんなこと言われても―――…」
あたしにどうしろと?
第一、あたしはこう恋愛関係のいざこざとかそういうのが経験値云々じゃなく、苦手なのよ。
こう男女間の駆け引きとか―――…