子供+大人=恋?の方程式





 暫しの沈黙の後、

圭くんは優しい声であたしに尋ねてきた。


 そりゃそうだよね。


 突然、

「家庭教師の話をなしにしろ」

って言われて、

「はい、そうですか」

と言えるわけがない。


 説明はきちんとしないとね。


 多少、気は重いけど………。


「実は、この家庭教師の話は母が勝手に決めたことで………。

いきなり、成績が落ちたと言われたんですけど、下がったのは順位がたった一つだけで、

成績自体は全く落ちてないんです」





 圭くん、この話を聞いてどう思ってるかな?


 ママって、ちょっとおかしいと思ったりしてるかな?


 そんな思いもあり、あたしは圭くんの顔を窺う。


 もしかして、笑ってたり………。


 そんなことを思いながら、顔を上げたあたし。


 だけど、圭くんはあたしが心配していたように笑ってたりはしていなくて、真剣な顔で何かを考えているようだった。





「茅乃はこの話は望んでなかったんだね?」


「………は、はい…」


「そうか………」





 ん?


 なんか、話が通りそうな雰囲気だぞ?


 拓斗の話を聞いていると、圭くんは女嫌いで俺様な性格だって言ってたけど、そんなことなくない?


 すごく優しそうだし………。


 なにより、話がわかるみたいだし………





< 37 / 509 >

この作品をシェア

pagetop