子供+大人=恋?の方程式
「ちょっと待ちなさいよ!」
あたしは拓斗の首根っこを掴む。
「なんだよ!」
「あんたね、どこに行こうとしてるのよ。
あんたが行くのはそっちじゃなくて、こっちでしょうが!」
思いっきり廊下を指差すあたしに、拓斗は渋い顔を浮かべた。
「あのな…。
俺は圭史に頼まれてるんだぞ?
お前のことを――…」
「それを先生から逃げる口実に使わないでくれる?
そのことで、あんたが留年なんてことになったら、なんかあたしが悪い気がしてくるじゃない」
「それはそうだけど―――…」
それでも渋る拓斗。
たかが、圭くんに頼まれただけのこと。
それを、拓斗がここまで律儀に守るとは思えない。
つまり―――…
「あんた―…。
ただ、先生のところに行くのが嫌なだけなんでしょ」
わかりやすい性格。
図星を刺されたとばかりに、拓斗はビクッと肩を上げた。
「べ、べ、別にそういうわけじゃねぇよ!」
そこまでどもってて?
明らかに動揺してるくせに?