子供+大人=恋?の方程式
『圭史、聞いてる!?』
「あ、あぁ…」
拓斗の声に、そう答えるのが精一杯だった。
呆然としている俺の手を掴んできたかと思うと、雅紀は「俺が代わりに話を聞こうか?」と言ってきた。
その言葉に、俺はようやく、今は放心している場合じゃないと気づかされる。
「いや、大丈夫だ」
『圭史―――?』
携帯から俺の名前を呼ぶ拓斗。
そうだ。
今のこの状況に呆然としているわけにはいかない。
「拓斗!
その車に誰が乗ってたとかわかるか?」
『ああ。
それを言おうと思ってたんだ。
車に乗り込むところをチラッと見ただけだけど、あの女だった。
圭史が言っていた』
「そうか―――…」
茅乃を拉致するなんて奴はあいつしかいない。
何もしてこないと思ってたら、やっぱり手を出してきたってわけか。
『圭史、ごめんな。
俺、ちょっと職員室に呼び出し食らって。
気を使った茅乃が一人で帰るって言って。
一応、呼び止めたんだけど、あいつ俺に気を使って逃げるように校門を出て行ったんだ。
それで―――…』