子供+大人=恋?の方程式


「いや。

お前のせいじゃないよ。

お前は今までよくやってくれてたし」


『だけど―――…』


「お前は気にせず、職員室に行け。

後は俺がなんとかする。

呼び出し食らったってことは、何か問題でも起こしたんだろ?」


『起こしてねぇよ!』


「まあ、安心しろ。

心当たりはあるから」


『そっか。それなら―…』





 携帯越しに拓斗がホッとしたのがわかった。


『頼むな…』という、拓斗の声を聞いた後、俺は携帯を切った。


「―――圭史…」





 心配そうに声をかけてきた雅紀。


 実際のところ、拓斗にはああ言ったが、心当たりなんて何もない。


 それに、車で連れ去られたってことで、俺の中に一つの最悪な想定が浮かんでいた。


 静香は車を持っていなかったはず。


 それなのに、どうしてあいつは車で茅乃を攫った?


 茅乃も静香には警戒しているはず。


 だから、自分からおずおずとついていったりはしないだろう。


 すると、導き出される一つの答え。


 女一人の力で嫌がる茅乃を強引に車に乗せることなんてできない。


 となると、答えは一つだ。


 静香の他にも誰かが一緒に居た。


 それが、男でないことを祈るしかない。


 もし、男なら―――…。


 最悪の光景が浮かんできて、俺は必死にその光景を頭の中から消し去るように頭を振った。





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