子供+大人=恋?の方程式
「ああ…」
眉を顰める雅紀に俺は自嘲気味に笑う。
あいつが、『ZECS』に来るように指定してくるなんてな。
『ZECS』は所謂、俺と静香が初めて出会った場所だった。
そして、あいつが俺に体だけの関係を持ちかけてきた場所だった。
静香のことは、去年の学校祭で一年生ながらにしてミスキャンパスという称号を手にしたということで知っていた。
だけど、知っていたのは名前と誠が騒いでいたからそれで顔も知ったというぐらいのことだ。
学科が違う俺たちには接点もなければ、話すこともなかった。
だから、俺が静香のことをきちんと知ったのは、その『ZECS』での出会いだったと言ってもいい。
「圭史………。
実は、コウには連絡がついたんだけど、誠の奴、携帯の電源を切ってるみたいで、連絡がつかないんだ。
それに、コウの話では、あいつ今日の講義全部休んでるみたいで―――…」
『ZECS』『誠』。
静香の言った言葉からも、まさかと思うがもしかしてと思わずにはいられない。
なぜなら、『ZECS』という場所を俺たちに教えてくれのは誠で、マスターは誠の父親が出資して『ZECS』をオープンさせた。
つまり、マスターは誠に頼まれれば、『ZECS』を貸すなんて造作もないこと。