子供+大人=恋?の方程式
「わかってる。
お前が言いたいのは、罠かもしれないってことだろ?」
それに雅紀が答えることはなかったが、渋い表情がそう思っていることを表していた。
「大丈夫だ。
俺も罠かもしれないと警戒していくつもりだし―――」
「そりゃ、まあ、警戒しないで行くのと警戒して行くのとでは違うけど、どんな罠が仕掛けられているかもわからない状態じゃ、それも…。
それに――、そこまでしてくるかな?
下手したら犯罪だぞ?」
「―――わかってる。だけど―――…」
静香に捕まっている茅乃はどうなる?
俺があいつの指示通りに一人で行かなかったら、あいつは茅乃に何をするんだ?
冷静に考えれば、雅紀の言うとおりかもしれない。
下手したら犯罪。
だけど、そのことさえも見境がつかないほどになってしまっていたら?
「ごめん、雅紀。俺―――…」
「待てって! 圭史!」
雅紀が止める声も振り切って、俺は駐車場へと走る。
こんなところで、話している時間さえも勿体ない。
このことに誠が関わっているのかもしれないとか、そんなことも考える余裕もなくて、俺はただ、自分の車に乗ってエンジンをかけた。
そして、発進しようとアクセルを踏もうとした時、バンッと車の窓を叩く音に、俺はアクセルからブレーキへと足を変えた。
「―――雅紀…」
そこには、息を切らせながら、俺を追いかけてきていたらしい雅紀の姿があった。