子供+大人=恋?の方程式
*
「着いたよ―――」
物思いに耽っている間に、どうやら目的地に着いたらしく、誠さんは運転席から降りた。
あたしの隣に座っていた静香さんは、手馴れた感じで車から降りる。
あたしも降りようと、ドアに手をかけるものの、すぐにドアにはロックがかかった。
「えっ!?」
まさか、車の中に閉じ込められるとか!?
でも、さすがに外からは開けられなくても、中からはロックは簡単に解除できる。
なのに、何をわざわざ………。
もしかして、あたしが一瞬この隙に逃げてしまおうと思ったことを察知したとか?
だけど、そんなことを思っている間にロックが外れたかと思うと、あたしは逃げられないように、誠さんにがっちりと肩を掴まれて歩くように促された。
く~…。
絶対、逃げられるチャンスって今のしかなかったよね?
この建物の中に入れば、逃げるチャンスなんてなくなっちゃう気がする。
ハァ…と溜息を漏らしていると、「茅乃ちゃん…」と小声で誠さんが囁いた。
前を歩く静香さんにはその声は聞こえていないみたいで―――…
誠さんの話す言葉に耳を傾けていたあたし。
だけど、そのことを聞き終わった後、あたしは誠さんのことを見る。
コクリと頷く誠さんに、あたしも渋々ながら、頷いた。