子供+大人=恋?の方程式


「お前………」





 露骨に蔑んだ目で圭くんを見ていたあたしに、圭くんが鋭い睨みをぶつけてくる。


 思わず、反射的に背筋が伸びたあたし。


「今、これじゃ家庭教師の意味がないとか思っただろ」





 一言一句同じことを思ったわけじゃないけど、確かに同じようなことは思いました。


 その後ろめたさから

「思ってないよ」

と言うものの目が泳いでしまう。





 ハァと盛大に溜息を吐かれた後、圭くんはまた、机の上をトントンと指で鳴らしだす。


 その音が、なぜかあたしを責めているように聞こえて、すごく耳障りだった。





「………うるさい」


「…ぁあ?」





 つい文句を言った一言に、圭くんは眉をピクリと上げて睨んでくる。


 こ、こいつ、睨めばあたしが大人しくなると思ってたら、大間違いなんだから!





 強気な思いとは逆に、なぜかビクビクしてしまうあたし。


 だって、なんか迫力あるんだもん。


 顔が整っている分、余計に………。


 だけど、ここで負けてたまるもんか!


 これからの家庭教師を続ける分、不本意だけど長く付き合わなくてはいけないかもしれない。


 となると、少しでも優位な立場に自分が置いていたほうがいい。


 圭くんに主導権を握られて溜まりますか!





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