子供+大人=恋?の方程式


「その、トントンと指を鳴らすの。

うるさくて集中できないんだけど!」





 どうだ!


 言ってやったぞ!


「仕方ないだろ。

タバコ吸ってないから、手持ち無沙汰で落ち着かねぇんだよ。

ここで吸うわけにもいかないし」





 そこまで言うと、圭くんはニヤリとあたしのことを見てくる。


「子供の前では健康上、控えたほうがいいだろ?」





 こ、こいつ~…!


 思いっきりバカにした。


 『子供』っていう単語だけ、やけに強調しやがって~!!


「べっつに~! 

タバコぐらいなんてことないですよ~。

今から灰皿もらってきますから」





 本当はタバコの煙が苦手なあたし。


 だけど、あたしはわざと強がって立ち上がる。


 それから、部屋のドアを開けると

「ママ~!」

とママを呼んだ。


 その途端―――


「んぐっ!」


「バカッ! 

お前、何をマジで呼んでんだ」





 あたしは圭くんの大きな手で口を思いっきり塞がれていた。


 『離せ!』と抵抗するものの、細身の圭くんなのに力はやはり男の人で、あたしの力ではびくともしない。






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