ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
私は訝しがりながら、アレックスのほうに顔を向けた。アレックスは難しい顔をし、腕を組んで目を瞑っている。

「うむ。話せば長くなるのだが……」

その先をしばらく待つ。

が、いつまで経っても無言のままである。私はとうとう痺れを切らした。

「ちょっと何よ。もったいぶらないで、早く言いなさいよ」

私は目を閉じているアレックスの両肩を、ガクガクと強く揺さぶった。

(まさか、寝ちゃったんじゃないでしょうね)

立ったまま、それも話の途中で寝るなどベタすぎる展開だ。

しかし突然アレックスが目を見開いた。同時に剣を抜くと、私たちが通ってきた通路に向かって身構えだした。

「ヤツらが来たようだな」

「へ? やつら?」

さっきまでは気が付かなかったのだがアレックスの言葉で耳を澄ませてみると、複数の足音が通路の奥から聞こえてきたのである。
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