ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「げへへ、見つけた」

「人間」

「人間は殺せ」

その声はケンタウロスのものである。いつの間にかヤツらも何体か、通路内に姿を現していたのだ。

それにしてもケンタウロスというのは、何故こうも下品な話し方をするのだろうか。あれだけの美しい顔立ちだと、逆に不愉快さ極まりない。

「でも、まずいわね。こんなところで術なんか放ったりしたら」

私は眉を顰めた。

狭い通路である。剣術が基本のスケルトン・キラーはともかく、遠距離攻撃のケンタウロスに矢を投げ込まれでもしたら、私たちはひとたまりもないだろう。

(アレックスには悪いけど、逃げる方法を探したほうが先決かもしれないわね)

その間にも私たちは魔物に挟まれ、じりじりと追い詰められていた。

しかしエドがここで、一歩前へ出る。

「ここは僕に〜おまかせ、あ〜れぇ〜」
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