ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「?? 俺は一体……イタタ…」
アレックスは突然の出来事で状況が把握できず、頭と顔を押さえながら辺りを見回していた。鼻付近を押さえている指の隙間からは、赤い液体がポタポタと流れ落ちている。
彼は近くにあった岩石に凭れ、魔物と一緒に爆睡していたのだ。
その顔面に私は思わず、膝蹴りを放っていた。頭まで押さえていたのは、枕代わりにしていた石に後頭部を強打したからだった。
この系統の術は、下位クラス程度にしか効かないはずである。
人間は魔物の世界でいえば、中位クラス以上の存在。
つまりこのような術は、人間にもあまり効果はないはずだった。しかし極まれに、こういった術にかかってしまう人間もいるらしい。
そのことは以前から知っていた。
が、この術でスヤスヤと幸せそうに眠っている者がいたら、迷わずクリティカルヒット級の蹴りを入れたくなるのも当然の行為であろう。
「おお! エドよ!」
アレックスはエドを見ると、いきなり大袈裟に両腕を振り上げた。
「素晴らしい演奏だった! 俺は猛烈に感動したぞ!!」
言うなり涙を流しながら、エドをそのまま強く抱き締めた。
アレックスは突然の出来事で状況が把握できず、頭と顔を押さえながら辺りを見回していた。鼻付近を押さえている指の隙間からは、赤い液体がポタポタと流れ落ちている。
彼は近くにあった岩石に凭れ、魔物と一緒に爆睡していたのだ。
その顔面に私は思わず、膝蹴りを放っていた。頭まで押さえていたのは、枕代わりにしていた石に後頭部を強打したからだった。
この系統の術は、下位クラス程度にしか効かないはずである。
人間は魔物の世界でいえば、中位クラス以上の存在。
つまりこのような術は、人間にもあまり効果はないはずだった。しかし極まれに、こういった術にかかってしまう人間もいるらしい。
そのことは以前から知っていた。
が、この術でスヤスヤと幸せそうに眠っている者がいたら、迷わずクリティカルヒット級の蹴りを入れたくなるのも当然の行為であろう。
「おお! エドよ!」
アレックスはエドを見ると、いきなり大袈裟に両腕を振り上げた。
「素晴らしい演奏だった! 俺は猛烈に感動したぞ!!」
言うなり涙を流しながら、エドをそのまま強く抱き締めた。