ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
剣士と吟遊詩人。

他に仲間がいるのなら話は別だが、この術士二人だけでパーティを組むなど、聞いたことがない。

二人の術の系統から考えてみても、バランスが取れているとはとても思えない組み合わせなのだ。これでは例え下位クラスを相手にしたとしても、簡単に殺られてしまうだろう。

私はこの二人のことを、今までずっと疑っていた。

実はアレックスが何処かの国の王子で、剣士というのは仮の姿。エドも吟遊詩人と名乗りつつも、本当はその従者なのではないのか、と。

或いは逆に、エドのほうが実は何処かの国の王子で、アレックスは剣士の格好をしているが、それも仮の姿。

本当は騎士様だが、エドが王子だということをカムフラージュするために、剣士と名乗っている。つまりアレックスは国王から勅命を受けた、エリート騎士団所属の騎士様なのではないのか、と。

多少性格に問題はありそうだったがそれは一旦目を瞑るとして、さっきもアレックスは俗世間がどうの……とか言っていたようだし、言葉遣いも偉そうなのでその確信を深めていたところである。

「俺は諸事情により、魔王をどうしても倒さねばならなくなった。しかし俺はパーティを組んではいない。
とはいえ相手は一振りの剣で大量虐殺をしていたと云われる、あの魔王。流石の俺でも一人で倒すのは難しい。
そこでとあるギルドへ入り、一緒に魔王を退治してくれる仲間を募っていたのだ」
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