ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「あ、えーっと……その、私たちは討伐隊じゃなくて……」
「俺たちは魔王を倒しに来たのだ。そこを退いてもらおう!」
私の心中とは裏腹に、ビシッとリチャードに指を突きつけ、アレックスは堂々と声高に宣言した。
瞬間私は血の気が引き、頭を抱えこんでいた。これで完全に相手を怒らせてしまったかもしれない。
だが。
「……ほう。魔王様を、ですか」
リチャードの細い目が更に細くなっただけで、それ以上殺気が膨れあがる気配はしなかった。
「主様からは、どのような客人でもおもてなしせよと、仰せつかっておりますので」
顔に似合わず優雅に、ごく自然な動作で胸に携えていたシルクハットを上へ向けると、右手に持っていたステッキでそのツバを軽く2〜3回叩いた。
「俺たちは魔王を倒しに来たのだ。そこを退いてもらおう!」
私の心中とは裏腹に、ビシッとリチャードに指を突きつけ、アレックスは堂々と声高に宣言した。
瞬間私は血の気が引き、頭を抱えこんでいた。これで完全に相手を怒らせてしまったかもしれない。
だが。
「……ほう。魔王様を、ですか」
リチャードの細い目が更に細くなっただけで、それ以上殺気が膨れあがる気配はしなかった。
「主様からは、どのような客人でもおもてなしせよと、仰せつかっておりますので」
顔に似合わず優雅に、ごく自然な動作で胸に携えていたシルクハットを上へ向けると、右手に持っていたステッキでそのツバを軽く2〜3回叩いた。