ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「二人とも、無事か!?」

針の攻撃が一旦止んだ時、アレックスは私たちのほうを振り向いた。

しかし。

「ちょ…ッ!? アンタ、前、前ーーっ!!!」

私は指を差しながら、慌てて叫んだ。

よそ見をしている間に光球が2〜3発ほど、続けざまにアレックス目がけて落ちてきたのである。恐らくはアレに接触したら、先程と同じように爆発するのだ。

「む?」

アレックスがようやくそれに気付き振り返ったが、光球はすぐ目の前にまで迫っていた。

このまま直撃するのかとも思われたのだが――。

意外なことに、そこで爆発しなかった。

光球は何れも目の前で、何かに弾かれるように軌道を変えたのだ。そして少し離れた場所に落ち、爆発したのである。

私には軌道を変える直前で、水属性の紋様が浮かび上がったような気がした。まるでアレックスの周りには、目には見えないシールドが張られているかのようだった。

「ほう?」

私たちを高みから見物しているリチャードが、薄笑いを浮かべながらこちらをじっと見詰めている。
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