ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「術文も発せずに術を使うとは……あなたは本当に人間ですか?」
その質問は当然のことといえよう。私でさえ、今目の前で起こった出来事が信じられないくらいだ。
人間で防御術(シールド)を使えるのは、精霊術士だけだった。しかし術を発動するには、精霊石と術文が必須条件である。
だがアレックスは術文どころか、精霊石さえ使っていた形跡がない。その上、精霊術士ではなく剣士である。例え術文や精霊石を使ったとしても、シールドが使えるわけはないのだ。
「無論、人間だ」
アレックスは胸を反らすと、リチャードに勢いよく人差し指を突きつけた。
「俺は貴様たち魔物には、決して屈することがない。何故なら俺には熱き人間の血(ビート)が流れているからだ。この血で貴様らの汚れた術を、浄化してくれよう!」
またワケの分からないことを、堂々と宣言した。
「ほう…! そういえばサラ様から以前、聞いたことがありますぞ」
何かを思い出したらしいリチャードの細い目が、一瞬キラリと光ったような気がする。
「魔王様降臨の世、対峙していたヒト族の中で精霊の加護を受けた者がいたという話を。あなたはもしや」
「如何にも」
アレックスは更に胸を張ると、リチャードの言葉へ覆い被さるように言い放った。
「俺は英雄の血を引く、その末裔だ!」
その質問は当然のことといえよう。私でさえ、今目の前で起こった出来事が信じられないくらいだ。
人間で防御術(シールド)を使えるのは、精霊術士だけだった。しかし術を発動するには、精霊石と術文が必須条件である。
だがアレックスは術文どころか、精霊石さえ使っていた形跡がない。その上、精霊術士ではなく剣士である。例え術文や精霊石を使ったとしても、シールドが使えるわけはないのだ。
「無論、人間だ」
アレックスは胸を反らすと、リチャードに勢いよく人差し指を突きつけた。
「俺は貴様たち魔物には、決して屈することがない。何故なら俺には熱き人間の血(ビート)が流れているからだ。この血で貴様らの汚れた術を、浄化してくれよう!」
またワケの分からないことを、堂々と宣言した。
「ほう…! そういえばサラ様から以前、聞いたことがありますぞ」
何かを思い出したらしいリチャードの細い目が、一瞬キラリと光ったような気がする。
「魔王様降臨の世、対峙していたヒト族の中で精霊の加護を受けた者がいたという話を。あなたはもしや」
「如何にも」
アレックスは更に胸を張ると、リチャードの言葉へ覆い被さるように言い放った。
「俺は英雄の血を引く、その末裔だ!」