ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
(こっ、コイツら……)

私は自分のこめかみが、ピクピクと痙攣するのを感じていた。

「成る程。やはりあなたは精霊の加護を受けた者。
聞くところによれば加護を受けた者には、我らの術が効かぬという」


……こっちはこっちで、勝手に話をしているし。

「確か話では、精霊の数だけ加護を受けた者がいたはず。
まさか一人で、わたくしたちに戦いを挑んではこないでしょう。
ともすればこの二人も…?」

リチャードの細い目が、私たちを鋭く捉えた。

私は慌てて否定しようとしたのだが、寸前でその言葉を飲み込んだ。

リチャードには私たちにも同じ能力があると思わせたほうが、いいような気がしたからだ。特に理由はないが、なんとなく勘である。

黙っている私たちを見た彼はそれを肯定と受け取ったのか、おもむろにニヤリと笑った。

「まあ、いいでしょう。
精霊に選ばれた人間が実際にいたというのが、これで証明されたようなものですから」

(精霊に選ばれた?)

どういう意味だろうか。
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