ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
背筋の寒くなるような、不気味な笑み。上からヒトを見下すような眼差し。

その気配、態度を私は知っている。

(! アイツ、私たちを弄んでいるのか!?)

考えてみれば、中位クラスが本気なら私たちなど一溜まりもないはずである。なのに自身では全く手を下さず、下位クラスを自由に操って攻撃を仕掛けてきているのだ。

しかも物理のみの単調な攻撃パターン。

これはリチャードが大きな攻撃を、意図的に出させていないということに他ならない。じわじわねちねちといたぶるように、自分の掌で踊っている私たちを遠方から見物し、楽しんでいるのだ。

私はそのことにようやく気が付いた。

しかしそうなると長引けば、状況はこれよりも更に悪化することになるだろう。

何れはその『遊び』にも飽きてくるはず。そうしたら一瞬で殺されるのは目に見えている。
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