ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
(冗談じゃない。こんなところでアッサリ殺られるなんて!)

リチャードの嫌らしい余裕たっぷりの顔を見ていたら、なんだか無性に腹が立ってきた。恐怖心よりも先にその感情が出るというのは、おかしな話だが。

「エド! コイツらを足止めできそうな術、何かない?」

私は後ろで悲鳴を上げながら逃げ惑っているエドに尋ねた。

「足止め、ですか〜……コンフュージョン(混乱)なら使えますけど〜」

「オーケー、なんでもいいわ。私が援護するから、その隙にかけちゃって。
アレックスは私たちが下位クラスを足止めしている間に、あの中位クラスへ向かうのよ!」

「了解した」

何処まで成功するかは分からない。

だがこのままアッサリと殺られるくらいなら、今自分のできる限りの能力を使って、最期まで抗いてみたいと思った。
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