ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
私は隣で同じように座り込んでいるエドに訊いてみた。

「エド。今のアレックスって、まさか…」

「はい〜多分僕の術に〜かかってるんだと思います〜」

エドはいつものように明るく唄いながら答える。

「やっぱり」

私は全身の力が抜け、ガクリとその場に両手を付いた。

(しっかし、なんだってこんな時にかかるかなぁ)

とことん空気の読めない男である。

魔物の術は精霊力で跳ね返せるのに、何故エドのものには簡単に引っ掛けられるのか。

いろいろ疑問も残る。

だがそれはアレックスが正気に戻ってから、ゆっくり訊けばいいだろう。

そんなことより今は、目の前のこの状況をなんとかしなければならない。

彼は自身の剣筋など全く関係なく無駄な動きで剣を振り回しつつ、戸惑うスケルトン・キラーや既に術に嵌っているモノたちを運良くなぎ倒しているようだ。混乱している間は痛みを感じないのか、壁に激突していてもお構いなしだった。

しかしこのままでは――。
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