ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
アレックスの話を要約するとこうだった。
身体に異変を感じたのは、山中で魔物相手に一人鍛練をしていた1ヶ月程前のことらしい。何の前触れもなく『水の精霊』の紋様が目の前に浮かび上がり、魔物の攻撃を防いだのだという。
「俺は水属性の使い手だが、まさか鍛練で防御術も覚えられるとは思わなかったのだ」
「それ、鍛練は一切関係ないと思うわよ。ていうか精霊術士じゃない限り、防御術を会得するのはフツーに無理だから」
私の間髪を入れないツッコミで、アレックスは一瞬黙り込んだ。が、直ぐに何事もなかったかのように話し続ける。
「そこで俺は嬉しくなり、妹にそのことを告げたのだ」
アレックスの両親は幼い頃に流行病で相次ぎ他界し、現在はその村に妹さんと二人で暮らしているらしい。その上にお兄さんもいるらしいが放浪癖があるらしく、2年程前に旅へ出たきり消息不明なのだという。
「俺は当然の如く、妹も同様に喜んでくれると思っていた。しかし妹は俺の言葉を信じてはくれなかった。この実兄である、俺の言葉を!」
アレックスは口惜しそうに顔を顰めている。身体が動けば拳まで振り上げているところだろうが、今はあいにく動かない。
身体に異変を感じたのは、山中で魔物相手に一人鍛練をしていた1ヶ月程前のことらしい。何の前触れもなく『水の精霊』の紋様が目の前に浮かび上がり、魔物の攻撃を防いだのだという。
「俺は水属性の使い手だが、まさか鍛練で防御術も覚えられるとは思わなかったのだ」
「それ、鍛練は一切関係ないと思うわよ。ていうか精霊術士じゃない限り、防御術を会得するのはフツーに無理だから」
私の間髪を入れないツッコミで、アレックスは一瞬黙り込んだ。が、直ぐに何事もなかったかのように話し続ける。
「そこで俺は嬉しくなり、妹にそのことを告げたのだ」
アレックスの両親は幼い頃に流行病で相次ぎ他界し、現在はその村に妹さんと二人で暮らしているらしい。その上にお兄さんもいるらしいが放浪癖があるらしく、2年程前に旅へ出たきり消息不明なのだという。
「俺は当然の如く、妹も同様に喜んでくれると思っていた。しかし妹は俺の言葉を信じてはくれなかった。この実兄である、俺の言葉を!」
アレックスは口惜しそうに顔を顰めている。身体が動けば拳まで振り上げているところだろうが、今はあいにく動かない。