ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
本来『精霊の加護』は対魔族用として選ばれた英雄にのみ、精霊が与えた能力だという。
「どうやら精霊の加護を与えられた者は魔物の術を防御できるかわりに、人間が使用する術には効用しやすくなってしまうようなのだ。
『例えどのような弱術であっても致命傷を負う危険性がある』と、我が故郷に保管されている由緒正しき古文書にはそう記載されていた」
ということは先程かけた私の弱い術も、アレックスにとっては命の危機だったということになる。
だが。
私にとってこの話はどうも眉唾というか、にわかには信じられないというか……要するに、全面的に信じ難い話だった。何よりアレックスの言う『由緒正しき古文書』というのが、完全に嘘くさい。
「それより君たち、俺はこの体勢のままでは少し苦しいのだが、そろそろ助け起こしてはくれないだろうか」
「あ…ああ、そうね。確かにこれは苦しいわね」
アレックスの身体は未だに動かず、俯せのままである。私にも経験はあるが、これで長時間過ごすのは結構辛いのだ。
私は助け起こそうと、アレックスの肩に手を掛けたのだが。
「どうやら精霊の加護を与えられた者は魔物の術を防御できるかわりに、人間が使用する術には効用しやすくなってしまうようなのだ。
『例えどのような弱術であっても致命傷を負う危険性がある』と、我が故郷に保管されている由緒正しき古文書にはそう記載されていた」
ということは先程かけた私の弱い術も、アレックスにとっては命の危機だったということになる。
だが。
私にとってこの話はどうも眉唾というか、にわかには信じられないというか……要するに、全面的に信じ難い話だった。何よりアレックスの言う『由緒正しき古文書』というのが、完全に嘘くさい。
「それより君たち、俺はこの体勢のままでは少し苦しいのだが、そろそろ助け起こしてはくれないだろうか」
「あ…ああ、そうね。確かにこれは苦しいわね」
アレックスの身体は未だに動かず、俯せのままである。私にも経験はあるが、これで長時間過ごすのは結構辛いのだ。
私は助け起こそうと、アレックスの肩に手を掛けたのだが。