ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「そうだエド。あなた、回復術なんて使えないのかしら?」
「回復術っていうと〜体力のほうですか〜? 傷のほうですか〜?」
「この際どっちでもいいわ。本当は両方できればありがたいんだけど」
私は期待しないで訊いてみた。
『回復術』は精霊術の中でも、高度な技である。しかも芸術士のような補助や間接系を中心とした、特殊な術士しか使えないのだ。
「僕にはまだ両方は無理なのですが〜アブソープライフ(体力回復)なら〜一応使えますよ〜。但し〜まだ修行中なので〜ほんの少しの威力しかないんですけど〜」
これは意外な返答だった。修行中であるエドには、全く使えないのかと思っていたからだ。
「ほんの少しの威力って、どの程度?」
「外見からでは〜回復しているようには見えないし〜、かけられた本人も〜回復した感じがしません〜」
「………」
確かにその程度の術なら、かけても無意味である。
だがアレックスにはどうだろうか。
「私がかけた威力かなり弱めの術でも、アレックスには結構効いていたのよね。もしさっきの話が本当で、それだけでも致命傷を負いかねないというのなら、エドの全く役に立たない回復術でもかなり効くってことよね」
「全く役に立たないって〜エリスさん酷いですぅ〜。いくらなんでも〜そうハッキリと言われたら〜僕だって傷つきますよ〜」
エドは眉根を寄せて、私を恨めしそうな顔でじっと見ている。
すっかり忘れていたが、エドは芸術士なのだ。芸術士をやっている者は、かなり繊細な心の持ち主が多いと聞く。
「回復術っていうと〜体力のほうですか〜? 傷のほうですか〜?」
「この際どっちでもいいわ。本当は両方できればありがたいんだけど」
私は期待しないで訊いてみた。
『回復術』は精霊術の中でも、高度な技である。しかも芸術士のような補助や間接系を中心とした、特殊な術士しか使えないのだ。
「僕にはまだ両方は無理なのですが〜アブソープライフ(体力回復)なら〜一応使えますよ〜。但し〜まだ修行中なので〜ほんの少しの威力しかないんですけど〜」
これは意外な返答だった。修行中であるエドには、全く使えないのかと思っていたからだ。
「ほんの少しの威力って、どの程度?」
「外見からでは〜回復しているようには見えないし〜、かけられた本人も〜回復した感じがしません〜」
「………」
確かにその程度の術なら、かけても無意味である。
だがアレックスにはどうだろうか。
「私がかけた威力かなり弱めの術でも、アレックスには結構効いていたのよね。もしさっきの話が本当で、それだけでも致命傷を負いかねないというのなら、エドの全く役に立たない回復術でもかなり効くってことよね」
「全く役に立たないって〜エリスさん酷いですぅ〜。いくらなんでも〜そうハッキリと言われたら〜僕だって傷つきますよ〜」
エドは眉根を寄せて、私を恨めしそうな顔でじっと見ている。
すっかり忘れていたが、エドは芸術士なのだ。芸術士をやっている者は、かなり繊細な心の持ち主が多いと聞く。