ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「俺はようやく悟った。
これは宿命なのだ、と。俺が魔王を倒すのは星の定めなのだ、と」
アレックスの全身に力が入っているのが、回している腕からも伝わってくる。
「そして何故妹が突然俺に対して冷たくなったのか、という理由も同時に理解した。
それは速やかに魔王退治へ行かなかったことに他ならない。
妹はいつまで経っても退治する気配のない兄に業を煮やし、失望したのだろう。
だから俺は決心し、そのまま村を飛び出したのだ」
辺りがしんと静まり返る。この場所だけ、時が止まっているかのようだった。
「もしかしてアレックス、魔王を倒さないといけない理由ってそれなの?
じゃあ、討伐隊よりも先に倒さなければならないって話は…」
「大勢でアジトへ乗り込んだりしたら、敵に逃げられてしまうではないか。ここは不意を突き、少数精鋭で攻め入った方が得策だと考えたのだ」
(少数精鋭って、あんた)
はっきりいって、ここまでアホだとは思わなかった。
もしあの魔王伝説が真実だとすれば、絶対に勝てるわけがない。例え国が率いる大軍で戦ったとしても、まず不可能だろう。
「世間では英雄の存在を信じない者が多い。だがここで魔王を倒せばその証ができる上に、俺も真の英雄になれる。まさに一石二鳥なのだ」
「す、す、すごいです〜。アレックスさんて〜それ程までに大きな運命を背負ったお人だったのですね〜」
エドがアレックスに対し、陶酔しきった顔をしている。もし眼鏡の奥にある瞳もはっきりと見ることが出来るのなら、恐らくそれもキラキラと輝かせていることだろう。
(えーっと……何からツッコんでよいのやら?)
ツッコミどころ満載のアレックスに対して私が頭を悩ませていると、
「フフフ…」
ふいに背後から笑い声が聞こえてきた。
これは宿命なのだ、と。俺が魔王を倒すのは星の定めなのだ、と」
アレックスの全身に力が入っているのが、回している腕からも伝わってくる。
「そして何故妹が突然俺に対して冷たくなったのか、という理由も同時に理解した。
それは速やかに魔王退治へ行かなかったことに他ならない。
妹はいつまで経っても退治する気配のない兄に業を煮やし、失望したのだろう。
だから俺は決心し、そのまま村を飛び出したのだ」
辺りがしんと静まり返る。この場所だけ、時が止まっているかのようだった。
「もしかしてアレックス、魔王を倒さないといけない理由ってそれなの?
じゃあ、討伐隊よりも先に倒さなければならないって話は…」
「大勢でアジトへ乗り込んだりしたら、敵に逃げられてしまうではないか。ここは不意を突き、少数精鋭で攻め入った方が得策だと考えたのだ」
(少数精鋭って、あんた)
はっきりいって、ここまでアホだとは思わなかった。
もしあの魔王伝説が真実だとすれば、絶対に勝てるわけがない。例え国が率いる大軍で戦ったとしても、まず不可能だろう。
「世間では英雄の存在を信じない者が多い。だがここで魔王を倒せばその証ができる上に、俺も真の英雄になれる。まさに一石二鳥なのだ」
「す、す、すごいです〜。アレックスさんて〜それ程までに大きな運命を背負ったお人だったのですね〜」
エドがアレックスに対し、陶酔しきった顔をしている。もし眼鏡の奥にある瞳もはっきりと見ることが出来るのなら、恐らくそれもキラキラと輝かせていることだろう。
(えーっと……何からツッコんでよいのやら?)
ツッコミどころ満載のアレックスに対して私が頭を悩ませていると、
「フフフ…」
ふいに背後から笑い声が聞こえてきた。