ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
「あの扉から、なんとか出られないかしら」
私は後ろにある壁を見ながら呟いた。
前方には敵の大将、魔王(かどうかは怪しいが)がいるのである。やはり先へ進むには抵抗がある。
(そういえばさっきは鍵を探すのに夢中で、試していない方法がひとつあったわね)
正攻法で開けないのなら、力押しで壊せばいい。
先程は思い付かなかったのだが、精霊術であの扉を破壊することはできないのだろうか。
見るからに頑丈そうな扉ではある。私の術力では力が足りないかもしれないし、或いは何らかのトラップが仕掛けられているという可能性もある。
しかしここで敵を待つよりは、少しでも助かる可能性のあるほうを選びたい。
「私、ちょっとあの扉を破壊してくるわね」
近所へ遊びに行くような軽い口調で言って、私はその場を離れようとしたのだが。
「待て、エリス」
アレックスに突然腕を掴まれた。
「なによ」
なんだか、つい先程も同じように呼び止められたような気がする。アレックスからこのように呼び止められた場合には大抵、ロクな事を言ってはこない。それは既に学習済みだった。
私は後ろにある壁を見ながら呟いた。
前方には敵の大将、魔王(かどうかは怪しいが)がいるのである。やはり先へ進むには抵抗がある。
(そういえばさっきは鍵を探すのに夢中で、試していない方法がひとつあったわね)
正攻法で開けないのなら、力押しで壊せばいい。
先程は思い付かなかったのだが、精霊術であの扉を破壊することはできないのだろうか。
見るからに頑丈そうな扉ではある。私の術力では力が足りないかもしれないし、或いは何らかのトラップが仕掛けられているという可能性もある。
しかしここで敵を待つよりは、少しでも助かる可能性のあるほうを選びたい。
「私、ちょっとあの扉を破壊してくるわね」
近所へ遊びに行くような軽い口調で言って、私はその場を離れようとしたのだが。
「待て、エリス」
アレックスに突然腕を掴まれた。
「なによ」
なんだか、つい先程も同じように呼び止められたような気がする。アレックスからこのように呼び止められた場合には大抵、ロクな事を言ってはこない。それは既に学習済みだった。