ゼロクエスト ~第1部 旅立ち
驚いて首を巡らせて見てみると、爆発した床が燻るような音とともに、煙を立てながら抉られていた。その部分から焦げ臭いにおいもする。
私は何とかアレックスの身体を押し退けると、ようやく身体を起こした。
「まさか精霊に選ばれた人間が、誠に居るとはな」
階段上から声が聞こえてきた。
暗がりの奥から現れた人物は女性である。
少しウェーブ掛かった腰までの流れるような黒髪で、目鼻立ちのはっきりとした美女。形の良い艶やかな唇の色と同じで真紅の瞳をしており、それが妖艶な雰囲気を一層際立たせていた。
人間でいえば年齢は、20代後半から30代全般といったところか。服も髪と同様に黒いもので、身体のラインを強調した露出度の高い、膝下まであるスリット入りの長いドレスのようなものを身に纏っている。
右肩には先程リチャードと一緒に消えたものと同種類であろう、黒い目玉の魔物を携えていた。
容姿だけを見れば、人間である。しかし人間でないのは一目瞭然だった。
角が生えていたのだ。頭の両サイドから捻れるような角が2本。しかも後ろには細長い尻尾のようなものも見える。
(あれが……魔王!?)
私は何とかアレックスの身体を押し退けると、ようやく身体を起こした。
「まさか精霊に選ばれた人間が、誠に居るとはな」
階段上から声が聞こえてきた。
暗がりの奥から現れた人物は女性である。
少しウェーブ掛かった腰までの流れるような黒髪で、目鼻立ちのはっきりとした美女。形の良い艶やかな唇の色と同じで真紅の瞳をしており、それが妖艶な雰囲気を一層際立たせていた。
人間でいえば年齢は、20代後半から30代全般といったところか。服も髪と同様に黒いもので、身体のラインを強調した露出度の高い、膝下まであるスリット入りの長いドレスのようなものを身に纏っている。
右肩には先程リチャードと一緒に消えたものと同種類であろう、黒い目玉の魔物を携えていた。
容姿だけを見れば、人間である。しかし人間でないのは一目瞭然だった。
角が生えていたのだ。頭の両サイドから捻れるような角が2本。しかも後ろには細長い尻尾のようなものも見える。
(あれが……魔王!?)